最近、「グルテンフリー」という言葉をテレビや雑誌、インターネット等で目にする方も多いのではないでしょうか。

ある種のブームともいえるグルテンフリーは、モデルやハリウッドスター、スポーツ選手などが生活に取り入れたことがきっかけで注目が集まり広まりました。

アメリカでは既にグルテンフリーは一般的に認識されており、スーパーやレストランへ行けば豊富なグルテンフリー製品・グルテンフリーメニューを見つけることができます。

アメリカのグルテンフリーによる市場規模は、2014年で約10億ドル、2019年には20億ドルに成長すると予測されています。これだけアメリカ国民の関心を集めるグルテンフリーとは一体何がよいのか気になるのではないでしょうか。

グルテンは、アレルギー症状をはじめ体にさまざまな影響を及ぼします。そして、あなたの肌荒れが何を試しても治らないのも、「グルテン」が原因かもしれません。

今回はグルテンが体にもたらす影響と、グルテンに過敏でない場合でも摂取を避けるべき理由について述べていきます。

グルテンとは?

「グルテン」とはタンパク質の混合物で主に「グルテニン」と「グリアジン」の2種類のタンパク質で構成されています。ライ麦、小麦、大麦などの穀物に含まれています。

グルテンには特有の粘着性があり、ピザやパスタ、うどん、ラーメン、パンなど炭水化物と呼ばれる食べ物の多くに含まれています。あの「もちもちとした食感」はグルテンによるものです。

またグルテンは食べ物だけではなく、保湿効果を期待してスキンケアに、あるいはヘアコンディショナーにとろみをつけたり、マスカラのボリュームを出したりするためなどの目的で化粧品にも使われています。

このように非常に身近に使われているグルテンですが、さまざまな研究によって実は10人に1人がグルテンを消化・分解できない「グルテン不耐性」であることがわかってきました。

グルテン不耐性の場合、グルテンが含まれた食べ物などを摂取すると消化・分解できないグルテンが腸の炎症などを引き起こし、頭痛・下痢・便秘・疲労感・集中力の低下・気分の落ち込み・冷え、そして「肌荒れ」といった体調不良をもたらします。

小麦アレルギーは小麦の摂取後すぐにアレルギー反応をきたすのに対し、グルテン不耐性の場合は一定時間が経ってから体に異変をもたらすためほとんどの人がグルテン不耐性に気づいていないといわれています。

あなたがグルテン不耐性かどうか自分で調べることもできます。1週間から2週間、グルテンの含まれている食べ物・飲み物の摂取をやめてみましょう。

グルテンを避けるのは意外に難しいです。ビール・ハンバーグ(パン粉)・カスタードクリーム・カレールーにも小麦粉(グルテン)は含まれています。これらを完全に排除し、肌荒れや体調不良が改善されればあなたはグルテン不耐性です。

少し面倒かもしれませんが、まずは自分がグルテン不耐性かどうか調べてみましょう。今後のあなたの健康管理方法が大きく変わってきます。

なぜグルテンを避けるべきなのか?

「私はグルテンを含んだ食品を食べても、これらの体調不良を生じないから関係ない」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、グルテンは極力避けるべきです。

なぜなら主なグルテン摂取源である小麦粉は、長年に渡って遺伝子組み換えが行われてきた食品原料だからです。

小麦は「人間が大昔から食べてきた自然の安全な食べ物」という認識がありますが、実はここ50年の遺伝子生物工学を含めた食品産業の発展により、小麦を含めた穀物は昔とは異なるものになってしまっているのです。

その一例として、わずか数十年前の穀物と現在の穀物のグルテン量を比較すると40倍にもなっているといわれています。

グルテンを避けるべき理由は他にもあります。

グルテンはアレルギー物質

グルテンは花粉と同じアレルギー物質です。そのため、グルテン不耐性でなくてもグルテンの摂取量が多いとグルテンに対してアレルギー反応を引き起こす可能性もあるのです。

一度グルテンアレルギーになってしまうと、グルテンを含む食べ物を摂取すると喘息や蕁麻疹、アトピーといったさまざまなアレルギー症状をもたらしてしまいます。

グルテンを豊富に含んだ食品を食べると体がかゆくなったり、発疹がでたりする場合は既にグルテンアレルギーを引き起こしている可能性があります。

また、口にするものだけではなく化粧品など肌に塗布するものについても注意が必要です。数年前に大きな問題になったある石鹸が多くの人にアレルギーを引き起こした問題を覚えているでしょうか。

あの石鹸に含まれていたのは「加水分解コムギ」というグルテンの分解物です。日常的に使用することによって、多くの人がグルテンに対してアレルギー反応を示すようになってしまったのです。

このようにグルテンアレルギーにならないようにするためにも、食品と化粧品の両面からグルテンの摂取量を抑えるべきなのです。

グルテンは中毒性アリ

グルテンには依存性があります。例えば、グルテンをたっぷり含んだドーナツ、クロワッサン、パンケーキ、パスタ、ラーメンなどを食べると何だか幸せな気分になることはありませんか。実はこれは気のせいではありません。

グルテンは吸収されると体内で脳の受容体と結合してモルヒネ様成分(麻薬に似た成分)を生じるといわれています。つまりグルテンには、私たちの脳を高揚させ、クセにさせて「依存性」をもたらす性質があるのです。

これは食品メーカーにとってはありがたいことです。商品に豊富なグルテンを詰め込むことで、消費者はやみつきになってくれるのです。穀物に含まれるグルテン量が遺伝子改良によって劇的に増えているのも、こうした背景が考えられます。

グルテンは血糖値を急上昇させる

突然ですが、チョコレート・グラニュー糖・小麦パン・バナナの中で最も血糖値を急上昇させる食品をこの中から選んでください。

チョコレートやグラニュー糖を選ぶ方が多いのではないでしょうか。しかし、正解はグルテンを豊富に含んだ「小麦パン」です。

グルテンを豊富に含んだ食品ほど血糖値を急激に上昇させるものはあまり存在しません。一見甘そうに見えるチョコレートよりもグルテンは血糖値を上げる力が強いのです。

急激な血糖値の上昇は、体に非常に大きな負担をかけます。体に炎症をもたらしたり、血管を傷つけたり、糖化物質の生成促進につながったりします。

糖化物質とは、糖とタンパク質の結合物で老化を促進させる働きがあります。この糖化物質は血管・血液・脳・骨などの老化を促進するだけではなく、肌の老化にも影響を及ぼします。

糖化物質は肌の弾力を保つコラーゲンを破壊するため、シワやたるみを生成させます。また、糖化物質は蓄積すると肌を黄ばませてしまうため、美白にも影響を与えます。

つまり、グルテンの摂りすぎは体に負担をかけ、健康面・美容面に悪影響をもたらすのです。

グルテンは腸内環境をボロボロにする

腸と肌には密接な関係があります。「肌は腸を映す鏡」ともいわれており、腸内環境が悪くなると肌荒れが生じてしまいます。

グルテンは、腸に対して悪い働きをする悪玉菌のエサとなって、悪玉菌を増加させて腸内環境を悪くします。

腸内環境を良くするためには、発酵食品の摂取や食物繊維の摂取などが大切です。しかしまずは根本原因を排除するために、摂取するグルテンの量を減らしていくことが最優先です。

また、グルテンの成分のひとつである「グリアジン」は腸粘膜をすり抜けて血液中へ侵入します。このとき、腸粘膜に傷をつけてしまうことがわかっています。傷ついた腸粘膜からさまざまな異物が侵入し、体のさまざまな部分に炎症を引き起こすことがあります。

このようにグルテンは腸内環境を悪化させる上、腸自体を傷つけるだけでなく、体に炎症をもたらします。

グルテンとの上手な付き合い方

それでは、グルテンを避けるべき理由を述べたところで、続いて「グルテンとの上手な付き合い方」について食事と化粧品の両面からみていきましょう。

グルテンとの上手な付き合い方~食事編~

もしも、グルテン不耐性が疑われる場合はグルテンフリーの生活をおくることをおすすめします。グルテンは本来摂取しなくてはならない栄養源ではないため、グルテンを完全にカットしても体に何か影響を与えることはありません。

では、グルテン不耐性ではない人はどうすればよいのでしょうか。

グルテン不耐性でない人がグルテンフリー生活をおくるのはストレスにつながります。しかし、グルテンの過剰摂取はグルテンアレルギーを引き起こすリスクがあります。

したがって、グルテンを完全に排除しなくても意識的に避ける、あるいは減らすようにすることをおすすめします。白米をはじめ和食はグルテンの含有量が低いので和食を中心とした食事に切り替えることも効果的です。

まずは自分なりのルールを設けてみましょう。もしもあなたが毎食パン・パスタ・うどんなど小麦に頼った食生活を送っているのであれば、小麦中心の食事を「昼食のみ」あるいは「週末のみ」にするなど制限をつけてみましょう。

また、最近では日本でもグルテンフリーのパンやパスタなどが販売されています。米粉を使えばパンケーキや焼き菓子を作ることだって可能です。それらを上手く取り入れてグルテン摂取量を減らしてみるのもよいです。

さらに、食べ方によるグルテンの影響を減らす方法も存在します。例えば、消化酵素を事前に摂取しておくことでグルテンを短時間で消化し、体への負担を軽減することが期待できます。

そこで、グルテンを含んだ食事の前にタンパク質分解酵素を豊富に含んだパイナップルやパパイヤ、イチジク、キウイなどのフルーツを摂取しておくことをおすすめします。フルーツ以外にも生姜や納豆にもタンパク質分解酵素が多く含まれています。

その他、食べる順番も大切です。パスタやうどんを食べる前に食物繊維を豊富に含んだ野菜サラダなどを先に食べることでグルテンによる急激な血糖値の上昇を緩和することができます。

グルテンとの上手な付き合い方~化粧品編~

前述した通り、スキンケア用品にもヘアケア用品にもグルテンは含まれていることがあります。グルテンアレルギーのリスクを減らすためにも、肌に塗布した後に体内に吸収される可能性のあるアイテムに関しては使用を避けた方がよいです。

化粧品に使われるグルテンを含む原料としては、以下のようなものがあります。

・加水分解コムギ(加水分解コムギタンパク、加水分解コムギグルテンなど)

・コムギタンパク

・麦芽抽出物

・コムギアミノ酸

・ライ麦抽出物

・小麦由来のキサンタンガム

・小麦由来のデキストリン

・コムギ胚芽脂肪酸グリセリル

・オーツ麦粉

これらの成分は保湿成分として、あるいは化粧品にとろみをつけるための増粘剤として使われたりします。

化粧品の表示成分名に小麦、ライ麦、オーツ麦など穀物が含まれた名前の成分がある場合は避けた方がよいでしょう。

化粧品は毎日使用するものです。1回分に含まれる量としてはほんのわずかでも、蓄積することによってアレルギー症状を引き起こす可能性は十分にあります。

グルテン以外にも例えばある化粧品を使用して、かゆみやくしゃみなどのアレルギー症状があらわれるようでしたら、化粧品の中に含まれている成分に対してアレルギー反応を起こしている可能性があります。無理して使用しないようにしましょう。

まとめ

グルテンフリーの生活に替えることで長年悩まされてきた肌荒れや体調不良が治るかもしれません。グルテンを避けることで肌がきれいになるだけではなく、肌の老化、そして健康の維持にもつながります。

グルテンを豊富に含んだ穀物には中毒性があるため、食べ出したら止まらず、クセになってしまいます。しかし、脳の要求通りに食べ続けると肌だけではなく、体を老化させてしまいます。また、体の重要な機能をコントロールしている腸の働きにも悪影響を及ぼします。

さらに、グルテンを過剰に摂取することでグルテンアレルギーを引き起こす可能性があります。

グルテンを豊富に含んだ食べ物は確かにおいしいですが、これだけの体への負担を考えると摂取の見直しを検討してみる価値があるのではないでしょうか。

グルテンフリーあるいはグルテンを減らすことで、体調が良い方向に著しく変化するかもしれません。まずはグルテン不耐性かどうかを調べてみましょう。