これまでに、スキンケアによる美白ケア以外にも「クリニックや病院で施術を受ける美白治療の紹介や、医薬品の服用による美白方法」について紹介してきました。しかし「もっと自然な方法で美白したい」という方のために、生薬を用いた美白方法について述べていきたいと思います。

生薬とは、「人間が長い歴史の中で見つけ出した植物や動物・鉱物などを使った、人体に効果のある天然産物由来の薬物」のことです。

生薬の中でも「漢方薬」と「西洋ハーブ」の2つに分けてみていきましょう。

漢方薬で美白

まずは漢方薬を使った美白方法についてです。

漢方(東洋)医学について

漢方医学では、「体のバランスを整え、自然に体の治癒力を高める」ことを重要視しています。その治療方法のひとつとして、生薬を組み合わせた漢方薬の使用が挙げられます。

一方で西洋医学では、「体の異常のある部分にターゲットを絞って集中的に治療をする」ことを基本的な考えとしています。このような治療方法を対症療法(たいしょうりょうほう)と呼びます。

漢方医学は時間をかけて体質を改善し、本来の体の力を用いて病気を改善したり健康を維持したりするのに対し、西洋医学は患部に対し短期間での集中治療を行います。

このように漢方医学と東洋医学は、治療に対してのアプローチ方法が全く異なります。どちらが優れているというわけではなく、それぞれ長所・短所が存在し、病気の種類や体質、患者の考え方などによって選択すればよいのです。

レーザー施術や医療用薬剤を用いた点滴・注射などの美白治療は西洋医学に基づいた美白です。生薬を用いて肌の調子を整えたり、シミを防いだりして美白する方法は東洋医学の考えに基づいた美白になります。

漢方医学から見る美容の考え方について

漢方医学では体は「気」「血」「水」の3要素で構成され、これらがバランスよく巡ることで健康が保たれると考えています。つまり、漢方医学において病気や体調不良の原因は「この3要素のどこかに異常が生じることで引き起こされる」ということなのです。

「気」とは生命のエネルギーのことです。「気」のエネルギーによって心臓が動き、代謝や体温が調節され生命活動が維持されています。

「血」とは血液と血液が運ぶ栄養素のことです。「血」によって各臓器に必要な栄養分が送られ臓器が機能します。

「水」とは血液以外の全ての体液のことを示します。「水」は不要な老廃物や毒素を体外に排出する作用ももっています。

美容についても同じく「気」「血」「水」のバランスが重要です。例えば、シミやくすみは血の滞りや血の不足による血行不良で生成されると考えられています。肌の乾燥は「水」のめぐりが悪いことでもたらされ、肌荒れは「水」がたまり老廃物が流れないことで生じると考えられています。

市販で購入できる漢方薬と医療用漢方薬の違いとは?

漢方薬には、ドラッグストアやインターネットなど処方箋なしで購入できる「一般用漢方薬」と、医師に処方してもらって調剤薬局や漢方薬局で購入する「医療用漢方薬」が存在します。

両者の違いとしては「保険適応の有無」「生薬の含有量の違い」が挙げられます。医療用漢方薬は医師の指導のもと服用するため、生薬の含有量が市販の漢方薬より多く含まれている場合があります。

さらに症状によっては保険が適用される場合があります。しかし基本的には美容目的の場合保険は適応されません。また、保険が適応されたとしても経済的な負担は軽くなりますが、診察代や待ち時間などを考慮すると人によってどちらがいいとは一概にいえません。

美白を期待できる漢方薬

漢方薬は前述した通り、西洋医学のように体の異常部分にターゲットを絞るのではなく、体質を改善することで症状を治癒していきます。つまり、シミに直接アプローチするわけではなく、「血行を整えて老廃物を流し健康的な肌色にする」「女性ホルモンのバランスを整えて肌荒れや肝斑(かんぱん)を改善する」ことを期待して使用するのです。

特に「女性ホルモンの分泌の乱れによって生成されるシミの一種である肝斑に効果がある」ということは、美白につながるといえます。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は女性に用いられることの多い漢方薬で、病院などでは生理不順・肩こり・冷え性・更年期障害等の治療に使われます。当帰芍薬散は、血行を整え血の巡りを改善したり、ホルモンバランスを整えたりする作用を持ちます。

漢方薬は生薬の組み合わせ(組成)で特定の効果を発揮します。当帰芍薬散には、体を温める効果をもつ当帰(トウキ)と川きゅう(センキュウ)、痛みを和らげる芍薬(シャクヤク)、むくみを改善して血流の流れをよくする蒼朮(ソウジュツ)・沢瀉(タクシャ)・茯苓(ブクリョウ)が配合されています。

色白でやせ型、体力のあまりない人に向いている漢方薬といわれています。

・加味逍遥散(かみしょうようさん)

加味逍遥散も当帰芍薬散と同様、産婦人科系の症状に用いられることの多い漢方薬で、月経異常や更年期障害、のぼせ、イライラなどの不調に用いられます。

配合されている生薬は、更年期障害や痛みを和らげる柴胡(サイコ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、のぼせや気持ちを落ち着かせる山梔子(サンシシ)、産婦人科疾患やニキビに効果のある牡丹皮(ボタンピ)、鎮痛効果のある甘草(カンゾウ)や薄荷(ハッカ)、体を温める生姜(ショウキョウ)です。

体が疲れやすくイライラしやすい人に向いた漢方薬といわれています。

・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桃核承気湯は血液循環をよくする他、ホルモンバランスを整える効果ももちます。さらに便秘にも用いられる漢方薬です。

配合されている生薬は便秘に効果のある大黄(ダイオウ)と芒硝(ボウショウ)、血行を改善する桃仁(トウニン)、のぼせを発散させる桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ)です。

体力のある肥満体質の便秘気味の人に向いている漢方薬といわれています。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は血行をよくして熱のバランスを整えます。ホルモンのバランスも整える作用があるため生理不順や更年期障害に用いられます。

配合されている生薬は、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、茯苓(ブクリョウ)、桃仁(トウニン)、牡丹皮(ボタンピ)です。

体格ががっちりした赤ら顔の人に向いた漢方薬といわれています。

・薏苡仁(よくいにん)

薏苡仁は漢方薬ではなく単体の生薬です。漢方薬としては薏苡仁湯(ヨクイニントウ)、桂枝茯苓丸料加薏苡仁(ケイシブクリョウガンリョウカヨクイニン)などがあります。

薏苡仁はハトムギの種子を乾燥させたもので、ビタミンB1・B2、カルシウム、鉄など美肌成分を含んでいます。肌の生まれ変わりを高めることから生薬単体として化粧品にも配合されている成分です。

生薬としての効果は、溜まった水分や老廃物を流しむくみに作用します。

もともと冷え性や生理不順といった体質の方には漢方薬を使った美白ケアは向いているといえます。ただし、漢方薬は一般的な医薬品のように服用を開始してすぐに効果が表れるわけではありません。体質改善には非常に時間がかかります。最低でも3ヶ月は継続して服用する必要があります。

また、漢方薬は体質によって向き・不向きがあります。自分の体に合ったものを選ぶ必要があります。漢方薬には独特の香りや苦味があり、人によっては継続が難しい可能性もあります。さらに医療用で使われる医薬品のように即効性はないものの、漢方薬も薬なので副作用のリスクはあります。

服用を開始する際は十分に気をつけてください。

日本以外の漢方薬について

漢方薬は非常に歴史の深い薬です。もともとは中国から大昔に伝わり、それが日本で独自に発達しました。中国や韓国でも独自の漢方が存在します。

例えば美容大国といわれる韓国では「韓方薬」があります。日本の漢方薬とは、「使われる生薬・基本的な考え方・治療方法」も少しずつ異なります。韓方薬といえば、「高麗人参」が有名です。

高麗人参には生活習慣病や更年期障害の改善、シミの改善、アンチエイジング効果があるとされています。

西洋ハーブで美白

続いて西洋ハーブを使った美白方法について紹介します。

漢方薬と西洋ハーブの違いとは?

西洋ハーブは漢方薬と同様生薬を使いますが、分類としては異なります。漢方薬は昔、中国から日本に伝わりいくつもの生薬を組み合わせて日本独自に発達した薬です。漢方薬では植物以外にも動物や鉱物が配合される場合もあります。

一方西洋ハーブは西洋で使用されてきたハーブを単剤で用います。西洋ハーブの中にはヨーロッパでは医薬品として認められているものも数多く存在します。

うつ病の治療や気持ちを落ち着かせる効果のあるセントジョーンズワード、血管を強化し血流をよくすることでむくみを改善する赤ブドウ葉エキス、排尿困難の改善に用いられるノコギリヤシは、日本でも用いられているメディカルハーブです。

美白を期待できる西洋ハーブ

・エキナセア

キク科の多年草であるエキナセアはヨーロッパやアメリカでは風邪の治療に用いられるメディカルハーブです。抗ウィルス作用、抗菌作用に優れています。免疫力を高め、老廃物を流し新陳代謝を促進する効果があります。肌にはニキビの改善、炎症から引き起こされる色素沈着(シミの一種)の予防につながります。

・カルーナ(エリカ)

ツツジ科に属するカルーナには美白の有効成分(厚生労働省に認められた成分)である「アルブチン」という成分が含まれています。アルブチンはシミやソバカスの原因となるメラニンの生成を抑制する効果があります。

・モモ葉

モモ葉には炎症を抑える効果があります。昔から皮膚トラブルに用いられてきたハーブです。抗炎症効果により日焼け後の赤みを抑えたり、抗菌作用からニキビを抑制したりします。

・キイチゴ

バラ科の植物であるキイチゴにはメラニンの生成を抑制したりシミを薄くしたりする効果があるビタミンCや老化を防ぐポリフェノールが豊富に含まれているため美白効果が期待できます。

西洋ハーブの摂取方法について

西洋ハーブはドラッグストアやインターネットで購入が可能です。一般用医薬品として分類されているもの、サプリメントとして販売されているもの、あるいはハーブティーでお茶としての摂取方法もあります。

上記で紹介した西洋ハーブのハーブティー以外にも美容目的のハーブティーで一般的なものに、お茶として「ローズヒップティー」や「ハイビスカスティー」があります。ローズヒップには美白効果のあるビタミンCや肌の再生を促すビタミンAが含まれています。

ハイビスカスにはビタミンC、肌の生まれ変わりを高めるクエン酸やリンゴ酸が含まれています。

ハーブティーは香りを楽しむことでリラックス効果も期待できます。清涼飲料水の代わりにハーブティーを飲む習慣をつけるのもいいのではないでしょうか。

生薬の配合された化粧品もある!

ここまでインナーケア(体の中にとり入れる)での方法を紹介してきましたが、生薬は薬やサプリメント、ハーブティーなどで摂取しなくても化粧品に生薬の成分が直接配合された商品が多数存在します。

インナーケアでの摂取は副作用やアレルギーのリスクが高まりますが、化粧品の場合はそのような心配は低くなります。また、漢方薬も西洋ハーブも持病がある場合や他に服用している薬がある場合は、相互作用の危険があるので慎重に選ぶ必要があります。

リスクの低い美白化粧品に生薬が配合されている商品を使用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

美白ケアにはさまざまな方法が存在します。日常のスキンケアをはじめ食生活の改善、生活習慣の改善からレーザーや医薬品を使用した医療の力を借りた美白治療、サプリメントの摂取、そして生薬を用いたインナー美白ケアなど多岐に渡ります。

自分のライフスタイル・予算・体や肌の体質を考えて選ぶようにしましょう。

そして自然界の力を借りた漢方薬や西洋ハーブで美白を目指す場合も、基本の紫外線対策・美白化粧品を使ったスキンケアは欠かさずに行うようにしてください。


美白で失敗しない化粧品の選び方とは

シミやそばかすを退け、美しい美肌を目指すときに美白化粧品は欠かせません。化粧品に含まれる美白成分を活用することで、ようやく美しい肌を手にすることができます。

もちろん、このときは紫外線対策や生活習慣の改善も必要です。ただ、生活面での対策をすれば問題ないのかというと、それでは不十分です。美白化粧品を活用して、適切な美白対策をしなければいけません。

例えば、病気のときは「体の自然治癒力」に頼るだけでは不十分であり、薬によって症状を抑えることでようやく改善していきます。これと同じように、美白になるように化粧品によって補佐する必要があります。

ただ、美白化粧品は世の中にたくさん存在します。ただ、人によって肌質は大きく異なるため、適した化粧品はそれぞれ違います。そこで、どのような美白化粧品が良いのか厳選して掲載しました。化粧品選びでの失敗を避け、効果的な美白を実現させましょう。