「ホルモンバランスが乱れると肌荒れが生じる」ということは一般的によく知られていることだと思います。

しかし、あなたは体内で美しさや若さに関わるホルモンの種類・働きなどについて詳しい知識を持っているでしょうか。それぞれのホルモンの特徴を知り意識することはアンチエイジングに欠かせません。

私たちの体内には100種類ものホルモンが存在するといわれています。さらに新しいホルモンが発見され続けています。

今回は数多く存在するホルモンの中でも、特に「美に関わるホルモン」に焦点を当てて説明していきます。

ホルモンとは一体何か?

ホルモンとは、全身の臓器に指示を与えるメッセンジャー的化学物質のことです。ホルモンはごくわずかな量で効果を発揮します。

ホルモンは体内の内分泌腺(ないぶんぴつせん)と呼ばれるところ、あるいは臓器の中で生産されます。内分泌線とは脳下垂体(のうかすいたい)・副腎(ふくじん)・甲状腺(こうじょうせん)・副甲状腺・すい臓・生殖腺(せいしょくせん)などを示します。内分泌腺でつくられたホルモンは血液中を流れ内臓に指示を与えます。

一方で、血圧をコントロールするホルモン、血糖値を調整するホルモン、体脂肪を一定に保つホルモンなどは内分泌腺ではなく各臓器で生産されます。

全身の機能はホルモンによってコントロールされ、このホルモン量は多すぎても少なすぎても美容面だけではなく、病気や体調不良、老化などを引き起こし体に影響を与えます。

例えば、糖尿病はすい臓でつくられる「インスリン」と呼ばれるホルモンの働きが低下することで生じる病気です。また、女性に多いバセドウ病は甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」の量が多すぎることで引き起こされる病気です。

病気の治療に使われる薬の中にはホルモン量を調整して体調を整えるといったものが数多く存在します。

このようにホルモンは私たちの体の機能を一定に保つために全身に指令を与えている非常に重要な物質ですが、バランスが少しでも崩れることで体に影響を与えてしまうのです。

それでは、美しさ・若さに関わるホルモンについてそれぞれみていきましょう。

ヒト成長ホルモン

ヒト成長ホルモンは、脳の下垂体(かすいたい)と呼ばれる部位で生産されます。脳内でつくられる神経ホルモンの中では最も量の多いホルモンです。

その名の通りヒト成長ホルモンはヒトの成長に欠かせないホルモンで、思春期の急成長期に生産量はピークを迎えます。その後加齢と共に減少し、太りやすくなったり、筋肉がたるんだり、不眠になったり、意欲が低下したりといった老化現象をもたらすことが数多くの研究からわかっています。

ヒト成長ホルモンは小人病の治療にも使われています。

ヒト成長ホルモンの分泌量が1日のうち最も多いのが睡眠時です。「寝る子は育つ」ということわざは昔からの言い伝えですが、ヒト成長ホルモンの働きをみれば納得できます。

ヒト成長ホルモンがもたらす美容効果

ヒト成長ホルモンの研究は世界中で行われており、ヒト成長ホルモンは「免疫力を高める」「骨を強化させる」「活動レベルを高く保つ」「視力を回復させる」「認知能力を改善させる」など、さまざまな老化現象に対する改善効果があるということが報告されています。

ヒト成長ホルモンの美容効果については以下の通りです。

・肌をなめらかにする

・肌の弾力を保つコラーゲンの合成量を増加させて、顔のたるみを改善する

・髪が増える

・脂肪が減少し、筋肉量が増えるため体も肌も引き締まる

ヒト成長ホルモンの美容効果は肌だけではなく、髪・体型にもアンチエイジング効果があることがわかります。

ヒト成長ホルモンを増やすには

病気の治療などでは、ヒト成長ホルモンそのものを注射して補充しますが、副作用の危険性もあります。

それでは自然にヒト成長ホルモンの分泌量を増やすにはどのようにしたらよいのでしょうか。

それはヒト成長ホルモンを含有した栄養素を摂取することです。

・ビタミン類(ビタミンA・ビタミンB5(パントテン酸)・ビタミンB12・葉酸)

・ミネラル類(クロム・亜鉛・マグネシウム)

・アミノ酸類(グルタミン・L-カルニチン・アルギニン・GABA・タウリン・リジン)

これらの栄養素には摂取の上限が制限されているものもあります。摂りすぎはよくないので適切な量をサプリメントや食品から摂取するようにしましょう。

また、良質な睡眠を十分にとることも大切です。さらに運動も体内のヒト成長ホルモン分泌を増やします。特に脚を動かす下半身を使ったトレーニングが効果的といわれています。

副腎皮質ホルモン

副腎皮質ホルモンは、ヒトの体内で最も豊富に存在するステロイドホルモンです。副腎皮質ホルモンにはテストステロン、エストロゲンなどの性ホルモンも含まれます。

ヒト成長ホルモンと同様、副腎皮質ホルモンも加齢と共に分泌が低下し、75歳には20歳の頃の分泌量の10~20%程度にまで低下するといわれています。

副腎皮質ホルモンにはアルツハイマーや骨粗鬆症、糖尿病の改善や予防に効果がある可能性があるとして研究が進められています。

副腎皮質ホルモンがもたらす美容効果

副腎皮質ホルモンの美容効果としては、ステロイドが持つ抗炎症効果が挙げられます。ニキビ・肌の赤み・炎症などを改善する効果があります。

副腎皮質ホルモンは体内で産生される天然のステロイドですが、医薬品としてもステロイド剤は合成され、皮膚の炎症、体内の炎症、過剰なアレルギー反応の抑制などに用いられています。

副腎皮質ホルモンを増やすには

副腎皮質ホルモンを栄養素から増やすには、ビタミンB群の摂取が重要です。その中でもビタミンB5(パントテン酸)は副腎皮質ホルモンをつくるのに欠かせません。

また、体内でステロイドホルモンに似た働きをするビタミンDの摂取も大切です。サプリメントで補わなくても体内のコレステロールと日光(紫外線UVB)を浴びることで、体内でビタミンDが合成されます。

しかし、UVBは美白の敵であり肌のシミの原因につながります。従って、顔に直接紫外線を浴びるのはやめましょう。また洋服の上からではUVBは遮断されてしまうので、1日15分程度手首から先を日光に当てるようにしましょう。

メラトニン

メラトニンは両目の奥に存在する松果体から分泌される、体内時計をコントロールしているホルモンです。朝自然に目が覚め、夜眠くなるのもメラトニンのおかげです。

メラトニンは1日の時間を管理しているだけではなく、季節や年齢を体内に「告げる」働きも行っています。メラトニンの分泌量は10歳までにピークを迎えその後加齢と共に減少していきます。

メラトニンの量を一定に保てば「年齢を体内に告げない=若さをキープできる」と考えられ、さまざまな研究が行われています。

例えば、年老いたマウスの松果体と若いマウスの松果体を交換移植すると、年老いたマウスは寿命期間を越えて健康を保つのに対し、若いマウスは老化速度が進んだという研究結果が報告されています。

また、メラトニンと乳がんの関わりについても研究が進められています。「夜勤の多い女性は日中に働く女性より乳がんを発生しやすい」というデータがあります。このことから、「夜間勤務により人工照明によってメラトニンの生産量が減ることが乳がん発生の原因につながっているのではないか」と推測されています。

メラトニンは既に不眠症の治療薬として使われていますが、がんの治療や予防効果についても研究が進められています。

このように、メラトニンは体の時間・季節・年齢を把握し体内に指示を送る非常に重要な役割をもったホルモンなのです。

メラトニンがもたらす美容効果

美肌には良質な睡眠が欠かせません。寝ている間に肌の細胞は日中のさまざまなダメージが修復され回復します。また就寝時により分泌されるヒト成長ホルモンによって肌細胞の再生が進められます。

適切なメラトニンの分泌によって私たちは眠くなり、良質な睡眠を確保できるため、メラトニンは肌にとっても非常に重要です。

メラトニンを増やすには

メラトニンは体内で必須アミノ酸であるトリプトファンからつくられます。必須アミノ酸とは体内では合成できないアミノ酸のことです。

トリプトファンはまず、脳内で精神の安定や意欲に関与しているセロトニンになり、セロトニンがメラトニンに変えられます。本質的にセロトニンが日中の高い活動レベルに関わり、メラトニンが夜間の休息状態に関与しています。

つまりトリプトファンが不足するとセロトニンの量もメラトニンの量も不足してしまい生活リズムが崩れてしまいます。

トリプトファンは肉類・魚介類に豊富に含まれています。さらに牛乳やチーズもトリプトファンを多く含んでいます。食べ物からトリプトファンを積極的に摂取するようにしましょう。

エストロゲン

エストロゲンは「美人ホルモン」とも呼ばれる女性ホルモンの一種です。

女性らしさの外見を保つ上で欠かせないエストロゲンですが、一生のうちに女性が産生できるエストロゲンの量は「スプーン一杯程度」といわれています

加齢と共に体内でのエストロゲン分泌量が減ることで、骨粗鬆症(骨がもろくなること)や更年期障害(身体的・精神的不調)のリスクが高まることは一般的によく知られていることではないでしょうか。

エストロゲンはもう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンと共に女性の生理周期をコントロールしています。

生理中はエストロゲン・プロゲステロン量が共に低く、生理終了後1週間の間にエストロゲンの分泌量がピークを迎えます。さらにその後1週間、エストロゲンの低下と共にプロゲステロンの分泌量が増加します。そして生理前の週になると、少しずつエストロゲン・プロゲステロン量が低下していき、再び生理が開始します。

私たちの生理周期はこのように女性ホルモンのバランスが変化することで調整されているのです。

エストロゲンがもたらす美容効果

エストロゲンには、肌の奥で肌の弾力を維持しているコラーゲンやエラスチンの生成促進効果があります。従ってエストロゲンは、肌のたるみを改善したり、肌にツヤを与えたり、シワを薄くしたりします。

エストロゲンを増やすには

肌の若返りや女性らしい体つきを求めてエストロゲンそのものを補充する「ホルモン補充療法」が美容クリニックなどで施されています。即効性・効果感が高く、いつまでも美しくいたい女性のためのアンチエイジング方法としては人気です。

しかし、エストロゲンの補充は、乳がんの発症に影響を与えるリスクを排除できないのでおすすめしません。

自然な形で緩やかにエストロゲンを増やす、あるいはエストロゲンの働きを高めるには、やはり食べ物からエストロゲンの源となる栄養素を摂取することです。

エストロゲンに似た働きを体内で示す栄養素に、「イソフラボン」があります。納豆や豆腐、味噌、豆乳などに豊富に含まれる大豆製品や、ザクロや山芋などに多くのイソフラボンが含まれています。

また、ゴマに含まれる「ゴマリグナン」もエストロゲンと同じような働きをするといわれています。

また、エストロゲンの合成原料となるコレステロールの摂取も大切です。「コレステロールを摂るなら揚げ物で」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、美肌・健康のためには良質なコレステロールを摂取することが大切です。

良質なコレステロールとは、卵やバター、オリーブオイル、ココナッツオイルなどを示します。

これらの栄養素を食事から上手く摂取していくようにしましょう。またホルモン補充とは異なり、このような栄養素を摂取したからといって過剰にエストロゲン効果が高まるわけではありませんので安心してください。

さらに、お肌にはイソフラボン入りの化粧品を使うこともおすすめです。お肌に直接塗布することで美肌効果が期待できます。

プロゲステロン

プロゲステロンはエストロゲンとは異なり、肌に特別な美容効果を与えるわけではありません。むしろ、肌荒れを引き起こしたり、シミの原因となるメラニン色素を産生するメラノサイトを刺激してシミをつくりやすくしたりする美肌にとっては好ましくない働きがあります。

しかしプロゲステロンは、女性の機能として非常に大切な「妊娠」をコントロールしているホルモンなのです。プロゲステロンは妊娠希望の女性、妊婦さんに特に重要なホルモンです。

女性が美容・健康を維持していく上では、エストロゲン・プロゲステロンのバランスが非常に大切です。これらの女性ホルモンのどちらか一方が不足したり過剰になったりと、バランスが乱れることでさまざまな不調をもたらします。

女性ホルモンの分泌を促進する栄養素としてはナッツ類や魚に多く含まれるビタミンEや牡蠣、レバー、豆類に豊富な亜鉛を摂取するようにしましょう。

甲状腺ホルモン

甲状腺は喉の部分に位置する小さい器官ですが、身体の代謝過程に関わる非常に重要な「甲状腺ホルモン」を分泌し、代謝・体温・心拍のコントロールを行っています。従って甲状腺の機能が低下すると体の機能自体も低下してしまいます。

甲状腺ホルモンが欠乏すると、疲労・腰痛・記憶力の低下・情緒不安定・手足の冷え・皮膚の乾燥・脱毛・食欲低下といった症状がみられることがあります。

しかしこれらの症状は「単なる老化現象」として解釈されることも多く、甲状腺の機能が低下している、あるいは栄養不足により甲状腺ホルモンが不足していることに気づいていない人も多いようです。

また、甲状腺ホルモンの低下がアルツハイマーなどの知的障害、糖尿病、心疾患、がんなどの病気と関連している可能性がさまざまな研究結果から報告されています。

甲状腺ホルモンがもたらす美容効果

甲状腺ホルモンは身体の全ての細胞の代謝に関与しています。つまり肌細胞の生まれ変わりにも影響を与えます。古くなった肌の細胞を自然に剥がし、新しい細胞を生むことで肌はつやがあり、なめらかな状態を維持できます。よって甲状腺ホルモンが不足すると肌がかさついたり、くすみが目立つようになったりします。

甲状腺が適切に機能するためには

甲状腺が適切に機能するためには、「ビタミン不足」と「環境因子」による甲状腺ホルモンの産生低下を防ぐことが大切です。

・ビタミン類

甲状腺ホルモンとビタミンの欠乏は相互に影響し合うといわれています。つまり、甲状腺ホルモンが不足するとビタミンが体内で正しく利用されず、ビタミンが欠乏すると甲状腺ホルモンの産生が保てないということです。

甲状腺ホルモンの産生にはビタミン類が欠かせません。特に、ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEは甲状腺ホルモンの産生を促進するビタミンです。

・甲状腺ホルモンの産生障害となる環境因子

ビタミン不足以外にも環境因子によって甲状腺ホルモンの産生は影響を受けます。例えば薬剤による副作用です。避妊薬や一部の咳止め薬、鎮痛剤、バルビツール酸誘導体を含む薬剤(向精神薬など)等の中には甲状腺ホルモンの産生に障害を与えることがあります。

その他にも環境汚染物質や喫煙、副流煙によって甲状腺ホルモンの量が低下することもあります。

もしも、甲状腺ホルモン欠乏の症状がみられ、これらの環境因子に思い当たることがあれば甲状腺ホルモンの産生量を上げることより、これらの因子を排除することが最優先です。

まとめ

日常的に美容に気を使っていてもホルモン一つ一つを理解し、意識している方は少ないのではないでしょうか。ホルモンは、アンチエイジングにおいて重要なキーワードとなります。

この記事を参考に食べ物や栄養素の摂取だけではなく生活の中でできることから始めてみてください。例えば、

・メラトニン分泌量を増やすために寝る数時間前から部屋のライトを暗くする。(メラトニンの分泌により良質な睡眠が導かれ、ヒト成長ホルモンの分泌量も高まります。)

・紫外線の完全遮断は体内でステロイドホルモンに似た働きを示すビタミンD合成量を低下させるので、体の一部は時間を決めて露出する。

・生理終了後1週間が最もエストロゲンの分泌量が多く肌の調子も良いので、新しい化粧品はこの時期に試す

・一方でプロゲステロンの分泌の多い時期(生理終了後から2週間後、妊娠中など)は肌の調子が悪いので、肌荒れを引き起こす可能性がある新しい化粧品は避ける。また、シミができやすい時期でもあるのでいつも以上に紫外線対策は入念に行う。

・老化現象だとあきらめていた疲労・腰痛・記憶力の低下・情緒不安定・手足の冷え・皮膚の乾燥・脱毛・食欲低下といった症状の原因が実は甲状腺ホルモンの分泌量の低下かもしれない。

このように、ホルモンの働きを知ることで美容に活かせることがたくさんあります。ホルモンを味方につけて若さ・美しさを保ってください。


美白で失敗しない化粧品の選び方とは

シミやそばかすを退け、美しい美肌を目指すときに美白化粧品は欠かせません。化粧品に含まれる美白成分を活用することで、ようやく美しい肌を手にすることができます。

もちろん、このときは紫外線対策や生活習慣の改善も必要です。ただ、生活面での対策をすれば問題ないのかというと、それでは不十分です。美白化粧品を活用して、適切な美白対策をしなければいけません。

例えば、病気のときは「体の自然治癒力」に頼るだけでは不十分であり、薬によって症状を抑えることでようやく改善していきます。これと同じように、美白になるように化粧品によって補佐する必要があります。

ただ、美白化粧品は世の中にたくさん存在します。ただ、人によって肌質は大きく異なるため、適した化粧品はそれぞれ違います。そこで、どのような美白化粧品が良いのか厳選して掲載しました。化粧品選びでの失敗を避け、効果的な美白を実現させましょう。