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近年自然志向の高まりによって、「ロハス」や「オーガニック」といった自然のもの、天然のものを生活に取り入れることがある種のブームとなっています。

ロハスとはLifestyles Of Health And Sustainabilityの略で地球環境の保護と健康を重視したライフスタイルを指します。オーガニックとは、本来「有機栽培」という意味ですが、自然の本質的な力と生命力を活かして栽培したものを取り入れる、という意味に大きく広がっています。

ロハスもオーガニックも現在では近い概念をもつ言葉として使われています。

この自然志向を求める対象は衣・食・住にまで広がってきています。もちろん化粧品もその対象です。この動きに「より天然な化粧品を」と求める消費者も増えてきていますが、果たして天然成分のみでつくられた化粧品は本当に肌に良いのでしょうか。

「オーガニックコスメ・自然派コスメ・無添加コスメ」その基準は?

現在市場には、「オーガニックコスメ・自然派コスメ・無添加コスメ」など天然成分でつくられた肌にやさしいイメージを謳った化粧品ブランドが数多く存在します。あなたはこれらの化粧品がどのような基準でつくられているのかご存知でしょうか。

ここでは「オーガニックコスメ・自然派コスメ・無添加コスメ」それぞれ分けて説明します。

オーガニックコスメの基準

実は日本では、オーガニックコスメの明確な基準は存在しません。つまり化粧品メーカーによってその判断は任されているというのが現状です。

例えば、化学合成原料をふんだんに使った化粧水に、0.01%のオーガニック植物エキスを数種類配合したとしても「オーガニック化粧品」として販売することができるのです。

このようなイメージだけでオーガニック化粧品を開発し、消費者をだましているメーカーも実際に数多く存在します。しかし私たち消費者は化粧品の配合成分を全て確認することができないので、本当の意味でオーガニック化粧品なのか判断できません。

そこで、オーガニック化粧品を選ぶ際は認定機関のマークがあるかどうかを確認してみてください。認定機関にはフランスの「エコサート」、ドイツの「BDIH」、アメリカの「USDA」などが存在します。中でも世界最大規模の「エコサート」が高い評判と信頼を得ています。

オーガニック認定機関の基準はそれぞれ独自に細かく設定されています。その中で共通していることは、「石油由来成分を使わないこと」「動物由来原料を使わないこと」「植物原料のうち50~90%以上をオーガニック栽培のものを使うこと」です。

これだけの基準をみると、中には「これなら簡単に認定をもらえるのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、化粧品メーカーにとっては全てクリアするのはなかなか難しいのです。

化粧品原料のほとんどは、石油由来の合成原料でつくられているからです。石油由来の原料は安価で長時間保存のきくものが多いため、メーカーにとってこれらを使用できないということは技術的にも難しい点があります。

また、植物原料のうちオーガニック成分を50~90%以上使用となると原料のコストもかかります。さらに、オーガニック認定機関から認定を受けるのは無料ではありません。それなりの費用がかかります。

つまり、オーガニック認定機関の認証をもらうにはそれなりの技術・コストがかかるのです。反面、消費者に対しては、認定機関のマークが大きな信頼につながります。

自然派コスメの基準

自然派コスメについても明確な基準は存在しません。これもメーカーの独自基準です。

「全ての原料において合成物の使用を禁止している」というメーカーが存在すれば、「有効成分だけを植物由来にしている」というメーカー、「成分の1つでも植物由来のものを配合していればいい」というメーカーなどそれぞれです。

きちんと信念をもって自然派コスメを販売している会社であれば、ホームページなどに自社の自然派コスメの定義を載せているはずです。あるいは問い合わせをすればきちんと答えてくれるでしょう。

「自然派コスメ!」と謳っているものの、その細かい内容に触れていないメーカーはイメージだけの可能性があるので避けましょう。

無添加コスメの基準

無添加とは、「何かを入れていない」ということです。たいていの場合、この無添加は「旧表示指定成分」を示します。

旧表示指定成分とは、2001年3月まで厚生労働省によって表示が義務づけられていた成分102種類を指します。アレルギー、皮膚毒素、皮膚ガンなど皮膚障害を起こす可能性のある成分が該当します。

しかし2001年4月から化粧品の全成分表示が義務づけられるようになり、旧表示指定成分の表示は廃止になりました。そのため無添加コスメは2001年3月までは注目が高かったのですが、現在はオーガニックコスメや自然派コスメほどの勢いはありません。

しかし、旧表示指定成分を避けたい消費者にとっては、無添加コスメは1つの選択材料になるでしょう。

ただし、無添加だから必ず旧表示指定成分が配合されていないというわけではありません。これも自社基準ですので、自分できちんとその定義を確認しましょう。

天然成分が必ずしも肌に良いとは限らない

オーガニックコスメや自然派コスメを求める方の中には「天然成分ほど肌にやさしい」と思われている方も多いと思います。しかし、天然成分にも問題点が存在します。

ここでは、天然成分の中でも動物性成分、植物性成分の2つに分けて説明します。

動物性成分の問題点

動物性成分も天然成分の1つです。最近では動物愛護や伝染病、アレルギーの観点から動物由来の天然成分が使われることは少なくなってきました。

現在でも使用されている動物性成分の1つ「ラノリン」は羊の毛から採取した脂です。化学処理をしてきちんと精製しなければ、ラノリンに含まれる不純物によってアレルギーを引き起こすことがわかっています。つまり、天然のままではラノリンは使用できないのです。

また、牛由来の動物性成分にはプラセンタエキス、グリセリン(保湿剤)などがありましたが現在は使用されていません。狂牛病の感染リスクを排除できないとして化粧品メーカーが原料を別のものに切り替えたからです。

現在流通しているプラセンタの多くは植物性由来か海洋性由来です。グリセリンについても植物由来です。

このように動物性成分は天然成分ですが、天然の状態だとアレルギーのリスクがあり、さらには恐ろしい伝染病の危険性さえ存在するのです。

植物性成分の問題点

天然の植物性成分の場合、伝染病のリスクはありませんが、アレルギーや残留農薬といった問題点が生じます。天然植物成分をそのままエキスとして使用すると農薬が混じってしまう可能性があります。天然が肌にいいとはいえ農薬が混じっていては意味がありません。その点オーガニック原料は安心です。

続いてアレルギーについてです。植物から直接成分を抽出すると植物がもっている毒素などの不純物も含まれてしまいます。これがアレルギーを引き起こしたり、肌に刺激を与えたりすることがあります。

「化学処理された植物エキス」や「植物エキスと同じ構造を持つ原料を化学的に合成した成分」の方が安全な場合もあるのです。

天然成分のみでつくられた化粧品は本当に存在するのか

天然成分のみで化粧品をつくることは可能です。ただし、使用期限が極端に短かったり、機能性が劣ったりします。

例えば、天然成分のみで美白効果を期待する化粧品を開発することも可能です。自然界には美白効果を有する植物成分(カツミレエキス、クマコケモモエキス、カツミレエキスなど)も数多く存在します。

ただし、これらの成分を配合して医薬部外品の許可をとれる美白化粧品を開発するのは難しいです。なぜなら、医薬部外品の許可を取得するためには効果を証明する必要があり、高濃度の天然植物エキスを配合する必要があります。

ただ、天然エキスを高濃度で配合すると肌への刺激が強くなってしまう上、コスト面でも採算が合わないと考えられます。一方で安全性やコストを考慮して配合量を低くすると、美白効果が低くなってしまいます。

美白化粧品以外にも、洗顔料も天然成分のみでつくると機能性が低いものになってしまいます。洗顔料には界面活性剤が欠かせません。しかし、界面活性剤で石油由来以外の原料はほとんど存在しません。卵や大豆に含まれる天然の界面活性剤レシチンを使用した場合、泡立ち・クレンジング力が劣ってしまいます。

このように天然成分を追い求めると、化粧品そのものの機能性が下がってしまうのです。

まとめ

ここまでのことを考えると、アレルギーや肌荒れのリスクを抱えてまで天然成分を追求した化粧品にこだわる必要はありません。さらに、天然成分だけの化粧品では機能・効果が劣ってしまいます。

化学物質は自然ではありませんが、「必ずしも肌に悪い」というわけではありません。天然のエキスを人工合成してつくっても、安全性・効果は変わらないのです。

それでも環境にも肌にもやさしく、自然のものを使いたいという場合は認定機関の許可を受けたオーガニック化粧品を選びましょう。オーガニック化粧品であれば、美白・アンチエイジングといった機能性の高い製品も存在します。